身内に不幸があった年は年賀のご挨拶を失礼させていただく旨をあらかじめ喪中はがき(喪中欠礼)でお知らせしますが、それでもゆかりのある全ての人に喪中はがきをお送りするというのはなかなか難しいものです。そのため、喪中はがきを出していない人から年賀状が届くということもあります。では、そのような時にはどのように対応し、どのようなお返事をお返しすればよいのでしょうか。今回は喪中はがきを出していない人から年賀状が届いた際の正しい対応方法と返事の文例をご紹介します。
喪中はがきを出していない人から年賀状が届いた際の対応
喪中はがきを出していない人から年賀状が届いたら、寒中見舞いのはがきで返礼を出します。「寒中」とは二十四節気の小寒(しょうかん)から大寒(だいかん)にわたる期間を指します。日付で言えば1月5日から立春の期間までです。昔の中国や日本では立春の日から春になるとされていました。「寒中見舞い」はその寒中の厳寒期に出す挨拶状のことで、自身の近況の報告をしつつ季節のご挨拶をします。
一方、寒中見舞いは季節の挨拶以外に下記の折にも活用されます。
①喪中欠礼の挨拶
②故人宛の年賀状に対する返礼
③喪中に届いた年賀状への返礼
■相手が喪中の場合
④喪中の方への挨拶
上記のケースで活用する場合も寒中見舞いはあくまでも季節の挨拶状として出すものですから、①「喪中欠礼」の場合を除き、はがきは普通の「官製はがき」を使用し、切手を貼る際も普通の切手を使用します。年賀状は少し余分に購入していることが多いと思いますが、余った年賀状は郵便局でわずかな手数料を支払うと官製はがきと交換してもらえますので、寒中見舞いを出す際はこれを利用するとよいでしょう。
年賀状に対する返礼として寒中見舞いを出す場合は、1月8日(松の内を過ぎてから)~立春(年度によって異なります。2018年は2月4日です)までの期間に相手に届くように出します。地域によっては松の内が1月15日までとされている地方もありますので、その場合はその地域の松の内の翌日以降から立春までに相手に届くように出しましょう。
もし立春を過ぎてから出す場合は「寒中見舞い」ではなく「余寒見舞い」となります。余寒見舞いも挨拶状ですが、これを出す期間は立春から寒さが続く頃(一般的には2月末頃)までとされています。様々な事情でどうしても寒中見舞いを出せなかった場合は、余寒見舞いで年賀状に対する返礼をしても構いません。
喪中はがきを出していない人から届いた年賀状への返礼の文例と注意点
年賀状をくださった方はこちらが喪中とは知らず、新年の挨拶状をくださったということが多いと思いますので、この場合は必ず返礼のお返事を出しましょう。 喪中はがきを出していない人から届いた年賀状の返礼には、年賀状を頂戴したお礼とともに、喪中であるため新年の挨拶を遠慮させていただいたこと、また喪中の連絡が行き届かなかったことをお詫びする旨を書きます。
先方は喪中の相手に新年を寿ぐ年賀状を送ってしまったことになるので、おそらくとても申し訳ない気持ちになることと思います。こちらが喪中の連絡をしていかなかったため生じたことですから、そのような先方の気持に配慮しつつ丁寧かつ簡潔なお返事をしたためるのがよいでしょう。
下記は喪中はがきを出していない人から届いた年賀状への返礼として寒中見舞いを書く際の文例です。普段あまりお付き合いが頻繁でない相手から近しい友達友人まで幅広く活用できる文例です。
この度はご丁寧にお年始のご挨拶をいただきまして、ありがとうございました。
ご一同様には健やかに新年をお迎えになられたこととお慶び申し上げます。
昨年○月に○○が○○歳にて永眠いたしましたので、新年のご挨拶を控えさせていただきました。
連絡が行き届きませんでしたこと心よりお詫び申し上げます。
厳しい寒さが続きますので、どうぞ御身おいといくださいませ。
本年も相変わりませず、ご厚誼のほどよろしくお願い申し上げます。
平成三十年一月
返礼文を書く際の注意点は以下の6点です。
■最後の日付は「元旦」「元日」ではなく投函する「年月」を書きます。「○日」までは書く必要はありません。
■こちらは喪中ですから「おめでとうございます」「初詣」「正月」「賀」「干支」「日の出」などお正月に関係するおめでたい言葉は使用しないようにしましょう。ただし、先方のご一族に不幸があったわけではありませんので、先方のご一族が健やかに新年を迎えられたことを喜ぶ気持ちの言葉は使用しても構いません。
■あくまでも季節の挨拶状ですから「冬」「早春」などの季節を表す言葉や、花・草木・風景などの写真やイラストを挿入することは問題ありません。
■寒中見舞いは喪中はがきではなく挨拶状ですから、手書きのコメントを添えることは差し支えありません。
■結婚報告や出産報告も兼ねる場合は、簡潔にそれを報告する一文を加えでも構いませんが、あくまでも喪中の報告とお詫びがメインですから、結婚式の写真や生まれた赤ちゃんの写真を掲載するなどおめでたいことを前面に出すことは差し控えましょう。
寒中見舞いのまとめ
弔事と吉事が重なった場合には、いろいろと複雑な状況に直面することも少なくありません。そんな時にもルールや決まりを踏まえつつ相手への配慮を忘れない大人の対応ができるとよいですよね。
本年はご一同様が健やかにお過ごしになられますよう心より祈念しております。
喪中ハガキを出したのに年賀状が届いた時の正しい対応と文例についてもあわせてどうぞ。