インフルエンザは通常の風邪とは異なり感染力が強い疾患であるため感染症として認定されています。
幼稚園や保育園、学校などでは本人の静養や回復とともに、感染の拡大による集団感染を防ぐため学校保健安全法施行規則(昭和33年法律第56号)により感染者の出席停止期間が定められています。
インフルエンザウイルスが排出される期間はいつまで?
現在は発症から48時間以内に抗インフルエンザウイルス薬(タミフル・リレンザ・ラピアクタ・イナビル・シンメトレルなど)を服用し始めると、発熱期間を1日~2日に短縮することが可能ですが、ウイルスの排出期間が短縮されるわけではありません。
インフルエンザは潜伏期間である発症前日からウイルスを排出し始め、解熱後も2日~3日間は鼻やのどからウイルスを排出し続けます。解熱とともに鼻やのどから排出されるウイルスの量は徐々に減少していきますが、発熱初日を0日と数え、5~7日間程度はウイルスを排出し続けるとされています。
少しでも体内にウイルスが残っている期間に他者と接触すると、インフルエンザウイルスをうつしてしまい感染を拡大させることになりますので、出席停止期間を守りましょう。
そのため、学校保健安全法ではインフルエンザ発症日(発熱開始日)を0日と数え、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで」を出席停止期間と定めています。(ただし、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めたときは、この限りではありません。)
※出席停止期間は感染者の兄弟など家族には適応されません。
インフルエンザの出席停止期間早見表
学校などへの出席停止期間は下記の早見表のとおりです。(学校保健安全法に言う学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、特別支援学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校です。)
※上記の表は平成24年4月2日の省令改正に基づき改正された学校保健安全法施行規則を参考にしています。
インフルエンザウイルスの排出期間の長さには個人差があり、上記の表の出席停止期間を過ぎても、咳やくしゃみ等の症状が続いている場合もあります。それらが収まるまでは出来るだけ外出を控え、自宅で静養することが望ましいです。特に幼児や子ども、高齢者などは体力や免疫力が低いため、長引くことがあります。
完全に体力が回復する前に外出すると、自身が罹患したインフルエンザウイルスの型とは異なる別の型のインフルエンザウイルスに感染し、再度インフルエンザに罹患してしまうこともありますので、学校や幼稚園などへの登校日は体調を見ながら慎重に決めましょう。
上記表の静養期間を守っていれば、登校する際に原則学校などへ医師による登校許可証の提出は不要ですが、治癒証明のために登校許可証や登園許可証の提出を求める学校や幼稚園・保育園もありますので、インフルエンザによる欠席を連絡する際にそれも併せて確認するようにしましょう。
また、大学などはインフルエンザによる出席停止期間は出席扱いになる場合もあります。試験期間はもちろんのこと単位にかかわる場合もありますので、学生課などで確認するとよいでしょう。
登校する際も完全に体力が回復するまでは、不織布(ふしょくふ)製マスクを着用する等、再感染の予防に努めましょう。(不織布マスクとは繊維や糸等を織ったりせず、熱や化学的な作用によって接着させたマスクのことで、厚生労働省によりインフルエンザの感染予防に一定の効果があるとされています。)
インフルエンザに感染した大人の出勤停止期間は?
学校保健安全法に定める出席停止期間は、会社などには適用となっていないため、社会人や成人(学校の先生を除く)には厳密なルールはありませんが、会社や職場ごとに感染症に関する就業規則が設けられている場合がありますので、罹患した場合は有給取得の必要性を含め確認が必要です。
また、規則が設けられていない場合であっても感染を拡大させてしまう点には変わりはありませんので、会社や職場などへの配慮からも完治するまでは自宅で静養するようにしましょう。
インフルエンザ登校停止期間のまとめ
インフルエンザは周囲への感染への配慮が必要ですが、重症化すると肺炎やインフルエンザ脳症などの合併症を引き起こして重症化し、場合によっては死に至ることもありますので、自身のためにも回復するまでは治療に専念し安静に過ごすことが大切です。
インフルエンザの予防法や看病する親の対応については▼でご紹介しています。
子供のインフルエンザは親にうつる 看病での感染を予防する対処法