七草粥は朝食べるものというイメージがありますので、夜に食べるのはチョット違うんじゃない?と思っていませんか。
栄養や食習慣の観点から見ると食べるタイミングは朝・昼・晩、いつでも問題ありません。むしろ夜に食べると七草粥は胃腸や体を労るだけでなく、相性の良いおかずや副菜を付け合わせることでしっかりとした夕飯の献立になります。
今回はそんな七草粥を食べるタイミングと、七草粥を夕飯にする場合のおかずや副菜をご紹介します!
七草粥はいつ食べる?夜でもいいの?
そもそも七草粥はその年1年の無病息災と五穀豊穣を神に祈願する目的で食べられてきた食べ物です。正月のご馳走で疲れた胃腸や体をいたわる意味合いもあり、松の内の最終日である1月7日の朝に食べるという風習が根付きました。なぜ「朝」なのでしょうか。
これには概ね2つの考え方があります。
1つは、無病息災であれ健康成就であれ、神様にお願い事を祈願する際は、太陽が昇り始めてから頂点に登り切る正午までの時間帯が良いとされているためです。厄除祈願などの祈祷も午前中に行うことが多いですよね。一日で最も神聖な時間帯は午前中であり、そのため七草粥を食べる時間も朝が正式と考えられています。
もう1つは、朝に七草粥を食べる習慣は中国を起源としていて、中国では1月7日に「官吏昇進」という昇進試験が行われていたため、試験合格と出世を願いこの日の朝に食べる習慣が根付いた言われています。
ですが、健康的面からみれば七草粥を朝に食べようが夜に食べようが、差はありませんので七草粥を食べるタイミングは夜でもいいと思います。むしろ、栄養面の観点から見ると夜の就寝前にカロリーが低くビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富な七草粥を食べることのメリットは大変大きいです。
例えば、夜ごはんのおかずにフライものなどの高カロリーで消化しにくい食品をたくさん摂取すると胃腸に大きな負担がかかるだけでなく、分解できなかったエネルギーや炭水化物が腸内に溜まり、体内に脂肪として蓄積していきます。体内に蓄積された余分な体脂肪は後に様々な病気の原因にもなります。
しかし、七草粥は大変消化の良い食べ物ですから、寝ている間に胃腸を休ませるのにとても適しています。低カロリーで消化不良にもなりません。健康面かられば、七草粥は夜に食べても問題はない、むしろ夕飯として食べるのにこそふさわしい食べ物と言えるでしょう。
七草粥に合うおかずや副菜
では、具体的に栄養バランスや味のバランスなどを踏まえると夕飯にはどんな献立やメニューがおすすめなのでしょうか。七草粥に合うおかずや副菜のポイントは、七草のあっさりとした風味を程よい旨味で一層美味しく感じさせるおかずを選ぶことと、七草以外の栄養素を豊富に含んだ野菜を副菜に選ぶことでです。
ではでは、夕飯としてのバランスが良くなるおかずと副菜をご紹介します。
七草粥に合うおかず
■ 煮魚:サバやイワシなどの青魚の煮付けや、金目鯛やカレイなどの白身魚の煮つけは、七草粥ととても相性が良いです。味噌や醤油の味つけは、さっぱりとした七草粥の味に非常に馴染みます。七草粥を煮魚の汁と一緒に食べるのもおすすめですよ。栄養面では豊富なアミノ酸とEPAやDHAといった血流をサラサラにする良質な脂肪分を摂取することが出来ます。
■ 鶏肉の煮物:鶏肉は他の肉類と異なり、肉汁の出汁が多く出ることに加えて肉自体に脂肪分が少ないのが特徴です。さっぱりとした淡泊な鶏肉の味と七草粥は非常に相性が良いのです。筑前煮や鶏肉と大根の煮物など野菜を含む煮物にすれば副菜も兼ねることができます。また栄養面では、鶏肉には七草粥で補えないタンパク質や疲労解消効果が期待できるイミダペプチドが入っていますので代謝機能をあげたい人におすすめです。
■ 湯豆腐:湯豆腐は大豆のタンパク質と大豆イソフラボンを効率的に摂取できる料理です。大豆イソフラボンという成分には更年期障害やホルモンバランスを整える効果があります。湯豆腐は消化にも良いうえに、七草粥では摂取できない栄養分を補ってくれるのでとてもおすすめしたいおかずです。
七草粥に合う副菜
◆ 豚汁:味噌は大豆を原料にしていますので大豆イソフラボンが豊富に含まれています。豚汁は大豆イソフラボンとともに他の野菜や肉の栄養素を同時に摂取できますので、七草粥に不足しているアミノ酸やタンパク質を効率的に補うことができます。ゴボウなどの根菜を入れるとなお良いでしょう。歯ごたえのある食材を噛むことで満腹感が得られます。
◆ おから:おからもおすすめしたい副菜です。ひじきを入れることで鉄分と食物繊維を補給することが出来ます。ひじきに入っているビタミンCやビタミンB1は、おからに含まれる大豆イソフラボンの吸収を助ける効果があります。
◆ 海藻サラダ:ミネラル豊富な海藻サラダは七草粥で摂取できるミネラルの量を増強します。また海藻自体に味がありますので風味を増やすことも可能です。海藻類はカルシウムやマグネシウムの吸収を助け、加えて食物繊維も豊富ですので便秘対策にもなります。
七草粥は夕飯にもOK!のまとめ
七草粥は神様に無病息災を祈願する意味で朝に食べる風習がありますが、健康効果や栄養面での消化吸収はむしろ夜の方が適していて、七草粥の栄養素による無病息災の恩恵を受けることができます。
ただ七草粥はミネラルとビタミンの摂取はできるもののタンパク質が不足していますので、おかずでタンパク質を補いつつ、副菜でさらに不足しがちな栄養素を補うとよいでしょう。
七草粥が苦手な方は、七草粥を美味しく食べる代用レシピと七草粥をレトルトで気軽にアレンジして食べる方法も併せてご覧ください。と~っても、気軽に美味しく食べられます♡