今年度もそろそろ確定申告の時期が近づいてきました。
今回は確定申告での障害者控除について、確定申告書と一緒に提出する必要書類や添付書類、また障害者控除の還付金の計算方法についてわかりやすくご説明いたします。
障害者控除の種類と控除額
障害者控除とは、身体的、精神的に障害を背負った人に対して国、県、市町村が税制面で配慮をする制度です。
障害者控除の対象となるのは、身体障害者手帳(1級~6級)、療育手帳、精神障害者保険福祉手帳、障害者控除対象者認定などの交付を受けている人です。
控除の種類 | 控除の対象 | 控除額 | |
所得税 | 住民税 | ||
障害者控除 | 身体障害者手帳(3級~6級)、療養手帳A判定以外、精神障害者保険福祉手帳1級以外 | 27万円 | 26万円 |
特別障害者控除 | 身体障害者手帳(1級~2級)、療養手帳A判定、精神障害者保険福祉手帳1級 | 40万円 | 30万円 |
同居特別障害者控除 | 特別障害者に該当する控除対象者で配偶者、扶養親族と同居を常としている場合 | 75万円 | 53万円 |
障害者控除を受けるために「確定申告が必要な人」と「確定申告が不要な人」
障害者控除を受けるためには基本的には確定申告をする必要があります。しかし、以下の場合は確定申告は不要です。
② 非課税対象の場合。前年度の所得の総額が125万円までであれば課税対象とはならないので確定申告の必要はありません。
障害者控除による所得税の還付金の目安を算出
(例:年収400万円の場合)
障害者控除による所得税の還付金の目安を、年収400万円の人を例に算出してみましょう。
【表1】年収ごとの給与所得控除額の計算方法
年収(注1) | 給与所得控除額の計算式 |
180万円以下 | 収入金額×40%
65万円に満たない場合には65万円 |
180万円超360万円以下 | 収入金額×30%+18万円 |
360万円超660万円以下 | 収入金額×20%+54万円 |
660万円超1000万円以下 | 収入金額×10%+120万円 |
1000万円超1500万円以下 | 収入金額×5%+170万円 |
1200万円超 | 230万円 |
(注1)給与等の収入金額。源泉徴収票の「支払金額」にあたる
年収400万円ですので、上記の【表1】の計算式(400万円×20%+54万円)より導き出した給与所得控除額は134万円となます。年収400万円からこの給与所得控除額を差し引いた金額が課税所得金額となりますから、課税所得金額は266万円(400万円ー134万円)です。
【表2】所得税の速算表
課税される所得金額(千円未満切捨て) | 税率 | 控除額 |
0円~195万 | 5% | 0円 |
195万超~330万以下 | 10% | 97,500円 |
330万超~695万以下 | 20% | 427,000円 |
695万超~900万以下 | 23% | 636,000円 |
900万超~1,800万以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万超~4,000万以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万超 | 45% | 4,796,000円 |
上記【表2】の「所得税の速算表」にあてはめますと、課税所得金額266万円に対する所得税の税率は10%ですから、266万円に10%を掛けると266000円、そこから【表2】の控除額97500円を差し引くと、納めるべき所得税は168500円(266000円ー97500円)となります。
住民税は一律税率10%ですので168500円となります。
以上の所得税と住民税に障害者控除を適用させると、それぞれ下記のように減額されます。
■ 所得税
239万円×税率10%【表2参照】-控除額97500【表2参照】
=障害者控除適用後の所得税141500円
※下記の通り、障害者控除が適用されることにより所得税が27000円減額となります。
本来納めるはずの所得税168500円-障害者控除適用後の所得税141500円=27000円
■ 住民税(税率は一律10%)
240万円×10%(住民税率)-控除額97500円【表2参照】
=障害者控除適用後の住民税142500円
※下記の通り、障害者控除が適用されることにより住民税が26000円減額となります。
本来納めるはずの住民税168500円-障害者控除適用後の住民税142500円=26000円
確定申告での障害者控除の申請方法
会社員
会社員の方は年末調整で障害者控除を申請できます。
勤務先に提出する年末調整の書類のうち「扶養控除等(異動)申告書」に障害者の情報を記入して会社に提出します。まれに、障害者であることを証明する書類等のコピーの添付を会社に求められることもあるため、障害者手帳、障害者控除認定書などの障害控除を受ける権利があることを証明できるものを、いつでも提示できるよう必ず準備しておきましょう。
また、会社に勤めている人でも年末調整で障害者控除を申請せずに、個人で確定申告を行い、そこで控除を申請することも可能です。個人で確定申告を行う場合には確定申告書を作成し、障害者手帳のコピー及び源泉徴収票を添付のうえ、銀行口座情報と印鑑を持って所轄の税務署で申告してください。同居特別障害者の場合、同居の証明書を求められることもあります。
自営業
自営業の方は確定申告で障害者控除を申請します。
障害者であることを証明する書類の添付は原則不要です。しかし、まれに障害者であることを証明する書類等を求められることもあるため、障害者手帳、障害者控除認定書などの障害控除を受ける権利があることを証明できるものはいつでも提示できるよう必ず準備しておきましょう。同居特別障害者の場合、同居の証明書を求められることもあります。
年金受給者
年金受給者の方は確定申告で障害者控除を申請します。
障害者であることを証明する書類の添付は原則不要ですが、まれに障害者であることを証明する書類等を求められることもありますので、障害者手帳や障害者控除認定書などの障害控除を受ける権利があることを証明できるものは、いつでも提示できるように必ず準備しておきましょう。また同居特別障害者の場合、同居の証明書を求められることもあります。
確定申告で障害者控除申請をする際の必要書類や添付書類
確定申告の際の必要書類やマイナンバー等については以下で詳しく説明していますのでご確認ください。
〉〉 確定申告のマイナンバーや本人確認書は扶養家族も必要?紛失の際は?
〉〉確定申告でマイナンバー拒否 わからない時は記載不要?本人確認は?
医療費控除も申請する場合は下記もご確認ください。
〉〉確定申告の医療費控除に必要なものと提出書類とフォーマット
〉〉医療費控除とは 対象or対象外を徹底解説!世帯ごとのやり方!
〉〉確定申告の医療費控除は領収書に替え「医療費控除の明細書」を提出!